COLUMN
ワーケーションという働き方
働く場所を変えながら暮らしをアップデート
# ワーケーションとキャンプ
新型コロナウイルスが巻き起こしたキャンプブームの勢いは健在だ。
換気というより外気そのものであるアウトドアは、コロナ禍でも比較的安全に過ごせるレジャーとして脚光を浴び、多くの人は部屋で閉じこもる代わりにテントの中に閉じこもるようになった。
私の周りにもキャンプ道具一式を揃え、華々しい“キャンパーデビュー”を果たそうと目論む友人で溢れている。
しかし世界的なパンデミックがこの数年で巻き起こしたのはキャンプ業界の加熱だけではない。
その中でも日本を含む世界中の国々で一斉に普及した「リモートワーク」が筆頭に上がることは間違いないだろう。
「リモートワーク」がインターネット後進国である日本で一気に浸透するというのは革命的な出来事だったが、そんなお仕事の話よりも気になるのは「リモートワーク」の波に乗って生まれた「ワーケーション」という概念だ。
「ワーケーション」は“work”と“vacation”を合体させた造語で、要は「リモートワークで働きながらバケーションを楽しもう」という、時間がなくて欲張りな現代人にピッタリな概念である。
南国のビーチで波の音を聞きながら仕事…や、仕事が終われば温泉へ直行!という素敵な日常が連想できるワクワクする単語だ。
とはいえそんなことができるのはIT系の一部の人のみではないか…
なんて高を括っていると、業種の違う仕事仲間から「合同でワーケーションをしよう」と誘われる機会がチラホラ増えてきた。
浸透してるじゃないか、ワーケーション!!
ということで、私も早速「キャンプワーケーション」をしてみようと思い立ったわけである。
キャンプにおける私の考えは「道具はいらない」という時代と逆行するものだ。
もちろんサバイバルをする気はなく
「おしゃれグッズがなくてもキャンプを楽しむ気持ちさえあればそれはキャンプである」
という意味である。
しかし遊ぶ気満々とはいえ「ワーケーション」をしようというのに裸一貫で森に入るわけにはいかない。
少なくとも仕事ができるだけの設備は持っておく必要があるだろう。
何よりパソコンを使って仕事をするので、
電源やWi-Fiは欠かせない。
近頃のキャンプサイトにはWi-Fiが飛び回っていることも珍しくないが、キャンプでどのように電源を確保するか…
手持ちのポータブル充電器でまかなえないかと考えもしたが、結局私が用意したのは「ECL」の大容量ポータブル電源だ。
当初はテントに引っ掛けられるソーラーパネルを探していたのだが、天候に左右されることと発電量が少ないことで諦めた。
雨が降る度にオンラインミーティングを抜けるのは辛い。
「ECL」のポータブル電源は1台で「屋外コンセント」としての機能を存分に発揮してくれた。
# 自然の中で電力を消費する
ギャップが心地よい
最初に使いやすさを感じた点は充電の気軽さだ。
車のシガーソケットで充電できるので、キャンプサイトへ向かう道中で充電することができた。
結局滞在中に充電が切れることはなかったが、万が一キャンプの途中で切れてしまった際に車で充電できる機能は安心そのもの。
更に使える端子が多いのも嬉しいポイントだ。
通常の電源プラグやUSBが付いているだけでなく、地味に嬉しいのがUSB Type-Cの端子を直接刺せること!
私が仕事で使っているMacbook airにはUSB Type-C端子しか使えない。
型によって変わるかもしれないが、同様の悩みを抱えているMacbookユーザーは多いのではなかろうか。
付属の大きなアダプターを使わず直接充電できるのは大変使い勝手が良かった!
私のように荷物が少ないキャンパーにとっては道具1つ1つの大きさや重さが気になるものだが、「電源はこれを持って行けば安心」と考えればワーケーション用荷物として邪魔なサイズ感でもない。
充電中に使用電気量が表示されるモニターも少年心をかき立てられる。
自然の中で電力を消費しつつ仕事をするギャップがなんとも心地良い。
しかしながら実物を見てから気付いた点として、ファンの吹き出し穴が表面にある為朝露で内部が濡れてしまわないかが心配なところ。
夜はテントの内側に入れておくのが安心だろう。
# 熱い気持ちで仕事が捗る・・が
その一方・・
肝心のワーケーションそのものの感想は語るまでもない。
窮屈なオフィスにいるよりも焚き火のそばの方がリラックスできるに決まってるじゃないか。
職種にもよるだろうが、部屋の中にいるよりも間違いなく柔軟な発想ができるし、スポーツをした後のような「とにかくやるぜ!」という熱い気持ちになりやすい!
しかし良い部分ばかりでなく、オフィスよりも集中を乱される要因が多い、というのも感想である。
寒さ暑さなどの温度調節やちょっとした飲み物、気分転換など、オフィスや家では気軽にできたことがさすがに外ではできない。
お手洗いに行くにもちょっと時間がかかる。
更には「キャンプを楽しもうぜ」「折角来てるんだからちょっとくらいサボろうぜ」と、自分の中の悪魔がささやいてくるのも大変苦しいのだが、そこはなんとか折り合いをつけよう。
# 残りの人生は
より良くなるかもしれない。
「ワーケーション」にはメリットもあれば当然デメリットもある。
しかしその二面性が存在しない物事などこの世にはないのだ。
肝心なことは我々に「想像もしてなかった新しい選択肢」が増えたということ。
人生の3分の1の時間は仕事をしているという我々。
時にオフィスで仲間と相談し、時に自宅で集中し、時に外でリラックスして働く。
そんな風にシーンに合わせて働き方を変えることができれば、我々の人生の3分の1はより良いものになるかもしれない。
取材:文章 タカタナカ